第2回「Derby展」出展作品

作品紹介
「知らぬ存ぜぬ口つぐむ」 銅、真鍮、鉄 100×50×180cm

水面の上の導化の目は何も語りません。
ただそこには目があって、具体的なことは言わないのです。
目は口ほどにものを言うとはいいますが、実際、人は直接的に語らなければ認識の誤差が生まれます。
些細な勘違いで大きな問題に発展する人間関係なんて数多あります。
彼は肯定しているのか、否定しているのか、同調しているのか、無関心なのか、いかようにもとらえられるかもしれません。
この「知らぬ存ぜぬ口つぐむ」の導化の顔は、見えているところ」で行う人間の情景の象徴です。
要は、何を考えているかわかりません。
彼はとてもクールに冴え冴えとそこにあります。
まるで何も語らず、そして全てを見据えているようで、しかし、見えているところでは静かに他人にちゃっかり合わせることの出来るかのようなそんな人物の象徴です。

作品紹介
「されどつぐまぬ口はあるは在る」 銅、真鍮、鉄 100×50×180cm

水面の下、これは日常生活の中の人間関係の「見えないところ」の象徴です。
水面の上の導化(彼)はあんなに澄ましているのに、 水面の下の彼はこんなにも饒舌でニヒリストです。
ニヤリニヤリと閉じることの無い口は全てを語りま す。
声にして語ります。だから直球で相手の気持ちも考えない。
見えないところで人は何を考えていたり語っているかわかりません。
それは悪態や陰口だけでなく知られない正義や知恵も何もかも。ネガティブもポジティブも。
目から下の彼は貴方に何かを語り全てを語るかもし れないし、痛々しい本音しか言わないかもしれない。

でも思う、発言されることの喜びを。
人は語らなければ、本当の思いは伝わらない。
いえ、知らなくていいと思うのならば、構いませんが。
わたしは痛くても、知りたいとおもう。
作品紹介
「堕空」
制作のコンセプトは「表情」モチーフは常に「導化師」です。
人型の立体を作ることが好きで、取り分け様々な表情を表すことにかけて長けている導化という存在は私に尽きない創作意欲を与えます。
この度はDerby展に参加させて頂きありがとうございました。
深みのあるものを作りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

福田有里子 Fukuda Yuriko

青森県出身
2012
多摩美術大学美術学部工芸学科金属卒業
同大学大学院美術研究科博士前期(修士)課程工芸専攻金属研究領域 入学、現在二年在籍中
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