作品紹介
出展作品「1998-2014」「1997-2014」「xxxx-2014」

作品紹介
出展作品「1998-2014」
焼き物について

故人を荼毘に付した後、肉体が消失してなお残存するイメージのようなものがある。そのイメージこそが、私が「人」というものに対して感じる真実の姿ではないかと考える。
では、「物」はどうであろうか。道具・衣類・玩具などの物は、人々の生活に寄り添って存在する。その表面の質感・匂い・色などは自身の経過時間と存在感を私たちに発信し続けている。既製品として数多く存在するであろうその「物」も、明らかに一つ一つが違ったモヤモヤを纏う。それは時間の経過と共に変形や崩壊をし、薄らいでゆくかもしれないが、関わった人々の中に唯一のイメージとして存在し続けるのではないだろうか。
これは、長い時を人と共に過ごした「物」に土を掛けそのまま焼成すことにより、物体は消失しつつも「事実の痕跡」と「私のイメージ」を併せ持つ、モヤモヤした真実を具体化する試みである。

ここに存在する一つの物について、その詳細をそれぞれが後日別の人に説明したとする。その場合、間違いなく全員違った言葉や言い回しで伝える事になるだろう。その物があった事実は揺るがない事であるが、それに対する認識は大なり小なり人それぞれ違ったものになる。しかし、その認識が全員違ったものであるからといって、個人の認識が必ずしも嘘や間違いであったという訳ではない。その、個人が抱く認識やイメージを私は「真実」と呼ぶようにしている。そして「事実」と「真実」は必ずしもイコールではなく、事実に立ち会った人の数だけ真実は存在する。
メディアを通じ私たちが日々目にする情報とは、事実を前提に伝えられるものであるが、それは誰かの真実であり、私やその他多くの人の真実とはかけ離れたものである場合もしばしばである。
現在私たちの生活は情報過多による事実不在の状態であり、情報を作る誰かの真実で溢れかえっている。
私は、その情報を一つでも多く体験し、目の前にある事実について私の真実を形作っていきたいと思う。

* 荼毘に付す/ダビニフス: 死者を火葬することを意味する表現
三省堂 大辞林 第三版
作品紹介
「1984~2012」土、釉薬、ウルトラヒーロー

作品紹介
「エネルギーを造る為の器械」鉛、ネジ、コークス
日々
事実と真実の違いについての考察をしている
その際、「型」というモチーフをよく使う

塩野太朗

略歴
1985
東京生まれ
2008
東京造形大学美術学科彫刻専攻卒業
2010
筑波大学大学院芸術専攻彫塑領域修了
展示等
2008
国民文化祭いばらき美術展「茨城県知事賞」(県立近代美術館/水戸市)
2009
Art News Week (テレビ朝日多目的スペースumu/六本木)
金属彫刻作家新鋭展 (メタルアートミュージアム/印西市)
金沢現代彫刻展 (金沢市街/金沢市)
2010
M7大美振 (遊美工房/倉敷市)
サカイコオタ×シオノタロウ展 (ART WORKS GALLERY/水戸市)
彫彫発止 (アトリエムラギャラリー/札幌市)
資料館をARTする (札幌市資料館/札幌市)
2011
個展 (新札幌ギャラリー/札幌)
2012
個展 (草花舎/益田市)
ART EXHIBITION[SHARE] (BOX KI-O-KU/青梅市)
2013
美宴庭園 (メタルアートミュージアム/印西市)
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