竹氏正「名も無き道へ」

5/10(火) - 5/22(日) 5/16(月)休廊
展示風景
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老人は回想に生きる、と言われています。従って自分の町歩きも回想の域から出てはいないのでしょう。回想を刺激する町に出会いたい、そんな単純な想いからこの数年間を歩くことに費やしてきたようです。

私は品川の明治楼という遊郭の生まれなので、原風景が花街なのです。既にその風景は風化して久しく、回想もおぼろげでしかありませんが、しかしなおその妖しき匂いを求めて歩き続けているようなところがあります。徒労というべきか、酔狂というべきか。「名も無き道」はその幻影への細路であるのかも知れません。