fragile 展 木下 宏 肥田野 優希 松田 隆志 湯口 萌香
3/6 (金)ー3/14(土)
3/9(月)休廊
12:00~19:00 最終日17:00まで
展覧会中のブログ
【 木下 宏 】
ここ10年くらい制作の糸口は、75年前の幼い頃の記憶です。8月15日の昼の情景-中国での無蓋貨車と収容所-人の長い列-上陸用舟艇-佐世保の兵舎-汽車で通過した広島の風景等々を軸に展開しています。 例えば中国の天津での収容所の建物、佐世保で収容された兵舎の建物その形態の記憶が、後に知るアウシュヴィッツや戦時中のアメリカに於ける日本人の強制収容所の建物等々が同一の形態を帯びていることから、作品の建物の形が生まれたりしています。
危うい脆弱な記憶を、細い針金やアルミ箔で表現出来るのではないかと思い使用しています。
【 肥田野 優希 】
織物には平面で作られているものが一般的です。
織物のみで立体として形作るにはどうすればよいか。
経糸、緯糸のみで作られる立体作品を織ることを試みました。
ポリエチレンには特別な加工をすることなく、手で力を加えるだけで形状を記憶するという特性があります。
経糸、緯糸にポリエチレンを使用し、平面の織物を織る。
その後、ポリエチレンの特性を活かし、平面に織った織物を「折る」ことで形をつくり、立体作品を制作しました。
【 松田隆志 】
『photo by ryo yahara』
“ six fragile tables ”
6つのテーブルの取り扱いには それはとても注意を払います
建築は制作の中心であり また制作の素材の一部です
建築が生まれたとき その存在は非常に強く環境の一部としてふるまうことでしょう
そんな建築の元となるタネのようなものは
曖昧で 繊細で 壊れやすく はかないものです
日々へんかするもの 何年もうごかないもの 行ったり来たりをくりかえすもの・・・
そんなフラジャイルな状態の建築たちを
6つのテーブルの上に抽出し 描いてみました
やはり・・・・
次の瞬間にはどうなっているのかわかりません
【 湯口萌香 】
(何故その素材で制作するか)
私は「かわいい」という言葉をめぐる複雑な事象に思いをはせて制作をしています。「かわいい」と「弱い」には密接な関係があると思っています。
焼き物は割れやすいイメージがつきまとうものです。割れる前から割れてしまうかもしれない未来を想起させる危うさを纏っています。
ところが消失することはない素材でもあります。一度焼成した陶は粉々に割れたとしても破片になってずっと残り続けます。
その弱くありながらしたたかなところが気に入って、「かわいい」のねじくれた事情にも寄り添えるような気がして陶を素材に制作しています。