エバ・シオマサ 展
【 eniarkU fireworks for the deceased 】


エバ・シオマサ 展
【 eniarkU 】
fireworks for the deceased
12/12(火)ー12/17(日)

2022年2月ロシアがウクライナに侵攻しました。
それまで私は亡くなった人をテーマに制作してきましたが、私が描く亡くなった人とはウクライナの人とも思えました。
そしてロシアによる空爆をニュースで見て、亡くなった人のために花火を描くことにしました。

エバ・シオマサ

福島県いわき市出身

個展
1995年 村松画廊


展覧会中のブログ

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【花火】
2023年8月、隣町で4年ぶりの花火を見物しました。日本の花火は華やかなだけではなく、死者の魂を慰める鎮魂の意味があり、そういった伝統も感じることが出来ました。帰宅してからはテレビでウクライナ情勢のニュースを見ました。空爆の映像が先ほどの花火と重なり、憂鬱な気持ちになりました。と同時に、その混沌とした中から強い意思のようなものも湧き上がりました。それは「亡くなった人のために花火を描くこと」でした。どんな花火か? ミサイルが花火だったら良いのに、との思いと鎮魂の祈りとしての花火。そして私はキーウの夜空に打ち上がる花火を想像しました。しかし廃墟と化した街に打ち上がる花火に色彩を思い浮かべることは出来ませんでした。

【塩の絵】
20年前、私は塩で固めたキャンバスに木炭で死者を描いていました。日本では古来から死を穢として捉え、塩は穢を浄化する象徴として用いられてきました。一方、キリスト教圏における塩は「地の塩」にあるようにキリストの教えを忘れない、腐敗を防ぐ象徴と思われます。この2つについて、「清め=過去のリセット」、「防腐=過去の記憶」と置き換えました。

【亡くなった人の絵】
2010年夏の台風による高湿度により塩は解けてしまい、アクリル絵具を使用して亡くなった人の絵の制作を開始しました。
1枚のキャンバスに「リセット」と「記憶」の共存をテーマとしました。写真や資料を参照してマスキングテープが貼られたキャンバスに亡くなった人を描き、マスキングテープを剥がすことで描いたイメージをリセットし、絵と余白を均衡させる試みでした。しかしながら最終的に満足できる成果は得られませんでした。絵は放置されていましが、2022年ロシアのウクライナ侵攻における報道を見てから、私が描いた亡くなった人とはウクライナの人かもしれないと思うようになりました。私はその絵に花火を描きました。

【eniarkU】
1986年チェルノブイリの原発で大事故が発生しました。その時にはまさか25年後に福島原発で同様の事故(根本的には安全対策の不備)が発生するとは思いもよりませんでした。福島県いわき市生まれの私にとってウクライナは特別な存在でした。展覧会のタイトルは、今のところ日本がウクライナの反対側(平和)にあり、そこからの視点であることを意味しています。