圓井義典展
「2011年は2001年の10年後、2021年は2011年の10年後、2031年は2021年の10年後」


10/5(火)~10/17(日)11(月)休廊
12:00 ー19:00 最終日17:00まで
同時開催 東京工芸大学 圓井研究室 写真展「いま、ここで、」

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展覧会中のブログ

 パンデミックとなって世界を呑み込んだ新型コロナウィルスの脅威。未だに予断をゆるさないこの状況はしかし、単に想定外の自然の脅威ということで片付けるには、あまりにも多くの人為的要件が重なっているように思えます。
 そしてこのウィルスの問題とかたちは違えども、10年前に日本で私たちが経験した大きな地震と津波、それに起因する原発の事故や、今夏も世界中で続発する大雨とそれに起因するさまざまな災害などにも、やはり同じく私たち自身の影がそれらの背後に見え隠れしています。

 残念ながら、作者はこれらの自然に起因する諸問題を具体的に解決する力も展望も持ちあわせているわけではありません。
 しかし、芸術活動とは私たちが自然と向き合い、そこから何らかのかたちを見出していく営みの総称であるとすれば、それは単に芸術作品だけを媒介とする営みであるばかりか、むしろ畑で作物を育てること、川をせき止めてダムを作ること、重力に逆らってロケットを飛ばすこと、そんな私たち一人ひとりが自然と向き合い、そこに何らかのかたちを見出していく営みすべての象徴でもあることでしょう。
 つまり、作者を含め、今ここに営まれる芸術活動そのものが、今まさに、大いなる脅威として立ちはだかる自然と向き合う、私たち一人ひとりの姿を象徴するものでもあるはずなのです。

 本展においては、今一度このような芸術活動のあたり前の姿を思い返しながら、作者が目にした自然にかかわるさまざまな事象を「10年」という時間スケールをあてはめて眺めてみます。

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圓井義典略歴

1973年大阪生まれ。
1996年東京藝術大学美術学部デザイン科卒業、
1997年東京綜合写真専門学校研究科修了。
2020年より東京工芸大学芸術学部写真学科教授。

「天象(アパリシオン)」PGI(2020年)、「点‐閃光」PGI(2016年)、「沖縄・プリズム 1872‐2008」東京国立近代美術館(2008年)など、個展・グループ展多数。

写真集に『天象(アパリシオン)』(2020年)、『圓井義典2000‐2010』(2010年)がある。

URL: http://yoshinorimarui.com